この記事では、ネットワークエンジニアの資格であるネットワークスペシャリスト(ネスペ)とCCNPのどちらの方が価値の高い資格かを記載します。
先に結論を記載すると、
ネットワークスペシャリストの方が価値が高い
です。
以下、詳細を記載します。
是非ともお読みください。
【前提】執筆者のスペック
執筆者「えもんだ社長」のスペックは以下の通りです。
- NWエンジニア歴9年程
- 2016年8月_CCNP取得(失効済み)
- 2019年12月_ネットワークスペシャリスト取得
- マイクロ法人社長で個人事業主
- 常駐型のフリーランスエンジニア
- 現在の年収(年間売上)は1,000万円以上
より詳しく知りたい方は、自己紹介の記事をご覧ください。
決して、現場経験のない営業職やITスクール関係者や自称億万長者などではありませんw
ネットワークスペシャリストの方が価値が高い根拠
冒頭に書いた通り、ネットワークスペシャリストの方がCCNPより価値が高いです!
もちろん、CCNPも悪い資格ではないですし、十分高い評価をもらえる資格です。
しかし、両者を比べた場合にはネスペに軍配が上がります。
以下、順に根拠を記載していきます。
根拠その1:取得難易度が高い
まずはこれです。
取得難易度は
- ネスペ >> CCNP
です。
たまにCCNPとネスペを同レベルと見ている人が居ますが、そんなことはないはずです。
確かに、CCNPはシスコ製品のマニアックな部分を暗記しないといけない、という意味で難易度は高いです。
しかし、CCNPは明らかに出題に傾向があったので、対策がしやすかったです。
一方、国家資格のネスペは簡単な対策がされないように毎年出題が工夫されています。
また、記述式の問題がメインですので、合格点を取るためにはちゃんとした理解が必要です。
単純な暗記ではなく、NW構成能力やトラブルシューティング力が無いと合格できないテストです。
以上の理由から、わたくしはネットワークスペシャリストの方が難易度が上だと断言します。
根拠その2:実用的な出題範囲
続いての理由は、ネスペの方が出題範囲が実用的であるという点です。
ネスペの学習範囲は、
- TCP/IP
- IT全般
- 通信するとき各機器に何が起こっているか
- ネットワークとは何か
- 詳細設計
- トラブル発生時の対応
など幅広くあり、ネットワークの基礎がしっかり身に付く学習範囲です。
そして、ネスペの午後試験は、NW設計、運用設計、トラブルシューティングを題材に知識や対応力を測る問題です。
テストですので現実を反映するには限界がありますが、過去問と受験で出てきた問題を見る限りでは、実務能力が問われる内容だった印象です。
一方のCCNPでは、
- Cisco社の機器の細かい挙動
が中心でした。そして、Cisco社の機器の仕様はすぐに変わってしまいます。
また、CCNPで出てきた
- OSPFのLSAタイプ
- EIGRPのコスト計算
- BGPのルートパス(MED値以外)
などは、実務で使った記憶はあまりありません。
実務で問題を解決する場合にマニアックな知識が役に立ったことはありますが、TCP/IPの基礎をしっかり理解している人であれば、問題に直面した際に調べることで対応できます。
なお、実務で暗記を要求される場面はまずありません。
マニアックな内容を知っていることが有利に働く場面もたまにはありますし、マニアックなことを勉強することはかなり良いトレーニングだとも思います。
しかし、CCNPは実用性よりもちゃんと修業したことを評価される面が強い資格という印象でした。
根拠その3:ズルして取得出来ない
CCNPは、ベンダ資格でいつでも受験可能です。
また、お金さえあれば何度も受験できます。(1度不合格になると5日間は受験できない、という制約はあるそうです)
さらに、海外サイトなどで実際の受験と全く同じ内容の問題が販売されている、という話を聞いたこともあります。
というか、昔職場で会った人が「問題は1万円程度で買える。3万円の受験料で何度も受験するよりも買った方が賢い選択だ」と自慢をしていたことがありましたw
民間企業の試験という性質上、完全に取り締まるのは難しいのでしょうが、この点もベンダ資格の評価がそこまで高くならない原因ではないでしょうか。
一方のネットワークスペシャリストは、年一回だけ実施される国家資格です。
短期間に何度も受験して取得する、とはいきません。
また、問題が販売されるということもまずありえません。
よって、ちゃんと受験して合格点を取得したことは間違いなく証明できます。
根拠その4:失効しない
ネスペは失効しません。生涯に渡って有効です。
一方のCCNPは3年で失効してしまいます。
そして、CCNPを更新するにはどれか1科目を再度受験して合格する必要があるので、再度受験料(数万円)を支払う必要があります。
なお、以前Cisco社の人と仕事で関わったことがありますが、「失効済みのCiscoの資格を履歴書に書くのは禁止です」と言われたことがあります。
応募先の会社とわたくしの間の個人情報のやり取りなので、文句を言われても困るのですが、そのように言われました。
※ちなみに履歴書には『2016年8月取得(失効済み)』のように記載しています。
更新が無いと最新の技術についていけているかの証明にならない、という批判もごもっともです。
しかし、ネスペが失効しないのはネットワークの土台となる知識の理解を測るテストだからという面もあります。
一方、CCNPが失効するのは順次更新される機器の細かい挙動を知っているかを測るテストだからだと思います。
性質が違う試験なので失効の有無のみを取り上げての単純な比較は難しいですが、失効しないのは強みです。
根拠その5:公的な評価がある
繰り返し述べている通り、ネットワークスペシャリストは国家資格です。
IPA(情報処理推進機構)のホームページを見ると、
- 高度な知識・技能
と書いてある枠の中に鎮座しています。
世間的にはネットワークエンジニアの知名度は低いですが、ITパスポート(レベル1)や基本情報技術者試験(レベル2)の知名度は高いです。
ネットワークスペシャリストはレベル4です。
仮に全然関係ない職業の人に履歴書を評価される機会があった場合には、レベル4ということさえ伝われば恐らく「頭がいい人」という印象を持たれることでしょう。
また、官公庁の入札案件では「ネットワークスペシャリスト〇名常駐」のような条件が付いていることがあります。
当然、入札した企業はネスペ保有者を雇わなくてはなりません。
CCNPもCisco社のアメリカブランドは強力ですが、日本国内に限ってはネスペの方が強いと思います。
ネットワークスペシャリストの欠点
ここまでずっと強みばかりを述べてきましたが、ネットワークスペシャリストにも欠点はあります。
ネスペの最大の欠点は、資格では実務能力の証明までは出来ない、ということです。
やはり、一番信頼できるのは実績、つまりはキャリアの中で達成してきたことです。
業務上の実績は、知識のみではなく、コミュニケーション能力や問題解決能力や責任感などの総合力で達成することです。よって、資格よりも実績の方が強力なアピールになります。
ということで、どんな素晴らしい資格を持っていても、即採用とならないケースも珍しくありません。例えば、資格は充実しているが面接でコミュニケーション能力が怪しかった人、などは採用されにくいです。
また、資格全般に言えることですが、(ヤマを張るなどで)運が良ければポロっと取れてしまうこともある、ということです。
面接担当者も運で合格した人が存在することを知っています。
ということで、採用担当者の正直な評価は、
努力が出来て、ある程度の頭の切れも期待できる。でも総合的な仕事能力については過信できない。
といったところです。
また、大雑把に言って若手ほど資格が高く評価されます。ある程度キャリアを積むと実績の方が大事になります。
年々評価の比重が下がっていくのは、ちょうど学歴の評価に似ています。
まとめ
表にすると以下の通りです。
ネットワーク スペシャリスト |
CCNP | |
取得難易度 | ★★★★★ | ★★★★☆ |
出題範囲 | TCP/IPやITの土台となる知識が中心 | シスコ機器の細かい挙動の知識が多い |
ズルできるか | まず不可能 | 良からぬ噂も多い |
有効期間 | 生涯(失効しない) | 3年で失効 |
公的な評価 | 国家資格のため比較的高い | アメリカの民間企業のためちょっとパワー不足 |
なお、CCNPの受験料は100,100円(2科目合計)で、ネスペの受験料は7,500円です。
※もちろん、不合格の際には再度受験料を支払う必要があります。
もし、ネスペを取得するかを迷っているのであれば、挑戦してみることをお勧めします。
少なくとも、わたくしは取得してよかったです。
この記事が、お読みの皆様の参考になれば幸いです。
それでは (*゚▽゚)ノ