この記事では、ネットワークエンジニアとは何か?について書きます。
当ブログの記事で当たり前にこの単語を使っていましたが、そもそもネットワークエンジニアという言葉自体、ITに関係のない人にはあまりなじみのない言葉です。
この記事で詳細を解説します。
目次
ネットワークエンジニアとは
最初に結論を書くと、ネットワークエンジニア(NWエンジニア)とは、
- (インターネットなどで使われる)通信技術を用いて、
- コンピュータ間の通信を行うためのネットワークを、
- 構築・維持・管理するエンジニア
です。
みなさんがお使いのPCやスマホの通信は、NWエンジニアによって構築・維持・管理されています。
みなさん、インターネットを利用するために携帯キャリアやプロバイダと契約していると思いますが、それらのサービスを提供するために、たくさんのNWエンジニア達が日夜額に汗して働いています。
えもんだ社長も、そのうちの一人です。
プロバイダなどのIT企業のみならず、大企業であれば社内の専用システムと、システムに付随するネットワークを持っていますので、それらの構築・維持・管理の仕事もあります。
また、中小企業でも社内でネットワークを利用した共有ファイルサーバなどを使ったりしますのが、それらのシステム構築もNWエンジニアの仕事です。
(このケースだと、サーバエンジニアがNW担当も兼務することも多いです)
インターネット用のNW、法人向け専用回線のNW、サーバなどを接続するNW、大企業の基幹となるNWなど、色々な種類のNWがあります。
それらのNWを機能させるために、たくさんのNWエンジニアが働いています。
なお、ネットワークビジネス(MLM)とは全く関係ありませんので、ご注意ください。
ネットワークとインターネットの違い
「ネットワーク」とは、一言でいうと、
- 通信可能なコンピュータの集まり
です。
解説すると、お使いのパソコンやスマホは、通信可能なコンピュータです。
例えば、ご自宅の無線LANルータ、及び無線LANルータと通信している機器(お父さんのパソコンと子供達のスマホなど)は、一つの「ネットワーク」と言えます。
また、オフィス内のパソコン100台、ファイルサーバ2個、無線AP 10台、収容スイッチ1台をひとまとめにしたものも、一つの「ネットワーク」です。
一方でインターネットを一言でいうと、
国際的なネットワークの集合体
です。
この国際的なネットワークの管理は、『ICANN』という組織によって管理されています。
ICANNによって任命された事業者や団体(NTTやGooglなど)が、グローバルIPアドレスの割り当てを受け、それぞれがインターネットの一部を担うネットワークを管理します。
日本を担当するICANNの下部組織は『JPNIC』という組織です。
以下は、JPNICのサイトにあるグローバルIPアドレスの割り当てを受けた事業者・団体の遷移記録です。
https://www.nic.ad.jp/ja/ip/transfer/ipv4-log.html
えもんだ社長も今回初めてみたのですが、有名な会社の名前がたくさんありますね。
インターネットを構成する各ネットワークは、家庭内や1オフィス内のものよりもずっと大きくて堅牢なネットワークです。インターネットの一翼を担うネットワークですので、通信容量や可用性(障害を起こさず稼働し続ける性質)の高いネットワークを用意しないと、グローバルIPアドレスの割り当ては受けられません。
これらの巨大で堅牢なネットワークは、互いに接続しあっています。
その相互に接続しあったネットワーク全体をインターネットと言います。
皆さんにとって一番身近なネットワーク管理団体は、プロバイダです。
プロバイダは、インターネットの一部となるネットワークを管理する事業者・団体です。
そのため、みなさんはフレッツ光などの回線を利用して、ご自宅の無線LANルータとプロバイダを接続できれば、インターネットを利用できるのです。
運用・監視業務について
運用・監視業務を行うエンジニアは、主に大規模な通信事業者のネットワークを見る仕事をしています。
主に、ネットワークを監視しているコンピュータに張り付いて、問題が起こっていないかを常に見張る仕事です。(夜間に問題が起こる可能性もあるため、大体は夜勤があります)
大規模な通信事業者では、個人のお客様のほか、法人のお客様にも回線を提供しています。
よって、夜間の問い合わせ窓口も兼ねる場合もあります。
問い合わせを受けたり、機器のアラートなどを発見した場合に、適切な部署に連絡し指示を仰ぐ、などの対応を行います。
いわゆる下流工程であり、ネットワークエンジニアになって初めて行う仕事である場合が多いです。
未経験でも運用・監視であれば、仕事をもらえる場合が多いので、入り口としてやってみるのが良いかと思います。
運用・監視の業務では物足りないと思ったら、頑張って資格を取って、上流工程を目指しましょう。
ちなみに、CCNAなどの資格を持っていれば、未経験でも結構引く手あまたです。えもんだ社長も、2013年ころにCCNAを取得してからNWエンジニアになったのですが、引く手あまたで驚きました。
都内であれば、時給2,000円くらいの仕事であれば、割と簡単に見つかるかと思います。
設計・構築業務について
設計・構築業務を行うエンジニアは、主にオフィスやデータセンターの新規開設や移転など、ネットワークを新規作成したり、既存のネットワークを変更したりする開発業務を行なっています。
開発業務は、大抵の場合以下の工程で行われます。
- 要件定義
- 基本設計
- 詳細設計
- テスト
- 移行・リリース計画
- リリース作業
それぞれ簡単に解説します。
要件定義
ユーザーの要件(実施したいこと)を洗い出し、定義します。(用件ではなく、要件です)
大抵の場合は、
- この拠点とこの拠点でこのシステムの通信ができるようにしてほしい
- 通信データの容量は○○くらいで、〇時間で転送を完了させてほしい
- セキュリティ上、このユーザからこのシステムへのアクセスのみできるようにしてほしい
などが要件となります。
基本設計
要件定義に基づき、システムの概要を設計します。
機器選定、データセンター選定、利用技術の選定、アドレス設計やVLAN設計、大まかな通信経路や可用性方針、障害時の稼働についてなどを決定します。
詳細設計
基本設計を実現するための各機器のパラメータを決定します。
機器に投入するコマンドは、この工程で作成します。
テスト
実際の機器が設計した通りに問題なく稼働するかのテストを行います。
機器単体でのテストのほか、機器同士を結合して想定通りの通信ができるかのテストも行います。
実際の環境でテストできない部分(WAN回線、実務で稼働中のPCやサーバ、実データなど)以外は、できるだけ本番環境と同等の環境でテストをします。
移行・リリース計画
構築するネットワークを実際に稼働させるための計画を立てます。
稼働中のシステムの改修などであれば、システムを止められる時間などの制約を考慮し、移行作業のタイムスケジュールなどを作ります。作業中に問題が発生することも想定し、リカバリ方法もこの段階で検討しておきます。
作業影響の軽減は、時間的制約などから、リリース作業が複数段階に分けられる場合もあります。
えもんだ社長の知っている限りでは、1プロジェクトのリリース作業が1年近くにわたって複数段階で実施されたこともありました。
リリース作業
これまでの工程で構築したシステムを実環境で稼働させるために、既存のシステムとの結合や、切り替えなどを実施する工程です。
前工程の移行・リリース計画を実現させるための手順やタイムスケジュールなどを作成し、作業を実施します。
ネットワークエンジニアの需要
IT産業が生まれてから今日まで、IT業界は常に「需要 > 供給」の売り手市場です。
経済産業省の試算によると、2030年には16万人~79万人の人材が不足する、と言われています。
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf
普段「〇年後に世の中はこうなる」という話はあまり信じないえもんだ社長ですが、この話はかなり現実味を感じます。
NWエンジニアに関していえば、いままで行った現場ではかなりの頻度でエンジニアを募集してましたので、今後も需要はかなり堅いと確信しています。
わたくしの知っている限りでは、どこの現場でも常に優秀なエンジニアを求めていて、高給を提示してもなかなか思うように人が集まらないケースが多いです。
ドラッカーの著書『現代の経営(1954年出版)』に、
オートメーション(工場の機械化)が進んでも、人手が余ることはない。むしろ高度な技術を持った人材が大量に必要になる。
ということが書いてあったと記憶しています。
この当時は、生産機械による大量生産が本格的に各産業で採用され始めた時期で、「〇年後には、原材料を機械に投入すれば、あとはスイッチ一つで製品が出来上がるような工場が世の中に登場する」という話がまことしやかに話されていたそうです。
「技術の進歩により人手が余る」という話は1954年当時にすでにあった話でした。しかし、ご存じの通りその後の歴史では技術の発展により、人手が足りなくなりました。
昨今も「AI化による人手余り」などという話はよく聞きますが、今後人手は余らずに高度な技術者が大量に必要になる、とえもんだ社長は考えています。
ネットワークエンジニア業界については、以下の過去記事も参考にしてもらえると嬉しいです。
まとめ
今回は、NWエンジニアについて解説しました。
どんな仕事かわかっていただけたのではないでしょうか?
この業界に興味を持っていただけたら嬉しいです。
誰かに、NWエンジニアとは何かを説明する必要があるときには、是非ともこのページを紹介してください。
それでは (*゚▽゚)ノ