この記事では、
- フリーランスエンジニアなどの個人事業主が
- マイクロ法人を設立し
- 高配当株を購入し
- 収入と資産がどのくらい増えるか?
を記載します。
前回の記事で、マイクロ法人と高配当株投資を駆使し、配当金を全て再投資した場合の資産の伸びを記載いたしました。
今回の記事では、高配当株の配当金をすべて使って再投資しない場合の収入と資産の増加を記載いたします。
なお、この配当金は定年退職後の収入にもなります。老後の生活の心強い味方になるはずです。
今回も、主な対象はフリーランスエンジニアなど年間粗利600万円~1,000万円くらいの個人事業主の方を想定しています。
是非ともご覧ください。
【当シリーズ】
執筆者のえもんだ社長は、エンジニア歴8年程のフリーランスエンジニアで、マイクロ法人の社長をしている者です。
ご興味あれば自己紹介の記事をご覧ください。
シュミレーションの条件
今回のシュミレーションの条件を記載します。
少々マニアックすぎるので、苦手な人はざっと斜め読みで十分です。
- 個人事業を法人化する。
- 売上は、600万円、800万円、999万円のケースを想定する。(消費税免除業者)
- 役員報酬(給料)は最初の年は月15万円で、2年目以降は株式配当の80%を給料にプラスしていく。(20%は社会保険料などの経費に充当することを想定)
- 株式配当は投資額の5%とする。
- 家賃は月8万円(年間96万円)で、法人から経費で支払い個人の給料からは支払わない。
- 社会保険料は令和3年3月の東京都で、40歳未満の金額で計算する。
- 法人税均等割は年間7万円。
- 税理士顧問料は年間20万円とする。
- 法人税実効税率は、400万円以下の利益は21%、400万円以上800万円以下の利益は23%で計算する。
- 残った金額は全て株式に投資する
厳密に言うと、社会保険料の上昇は段階的ですし、株式配当の益金不算入などもありますが、あまり大きな差異にはならないので省略して計算してます。
その他、独身・既婚、お子様がいる・いない、元々持っている資産が多い・少ない、など人それぞれ違いがありますが、ひとつのモデルケースとして参考にしてもらえればと思っています。
株価の上下と配当の増減について
この記事のシュミレーションでは、株価の上下も配当の増減もないものとして扱います。
健全な株式市場であれば経済成長に伴って株価も配当も増えますが、日本はこの30年間あまり経済が成長しませんでした。
株価はバブル崩壊とともに暴落し、その後ある程度復活はしていますが、まだ全盛期の水準までは回復していない状況です。
出典:トウシル-楽天証券(https://media.rakuten-sec.net/articles/print/18401)
配当金は、株主への還元という流れがあって、2005年~2010年くらいに一気に上がり、その後は横ばいです。
出典:トウシル-楽天証券(https://media.rakuten-sec.net/articles/print/33819)
売上600万円のケース
ではまず、売上600万円のケースでシュミレーションします。
出費と投資額は以下の通りです。
売上 | 600 |
役員報酬(支給額) | ▲180 |
社会保険料(法人負担分) | ▲25 |
家賃 | ▲96 |
税理士代 | ▲20 |
法人税(実効) | ▲59 |
法人税均等割 | ▲7 |
投資額 | 213 |
余った213万円で高配当株を買っていくと、給料は以下の様に増えていきます。
年次 | 投資額 | 総資産額 | 株式配当 |
役員報酬 |
役員報酬 (月) |
1年目 | 213 | 213 | - | 180 | 15.0 |
2年目 | 213 | 426 | 11 | 189 | 15.7 |
3年目 | 213 | 639 | 21 | 197 | 16.4 |
4年目 | 213 | 852 | 32 | 206 | 17.1 |
5年目 | 213 | 1065 | 43 | 214 | 17.8 |
6年目 | 213 | 1278 | 53 | 223 | 18.6 |
7年目 | 213 | 1491 | 64 | 231 | 19.3 |
8年目 | 213 | 1704 | 75 | 240 | 20.0 |
9年目 | 213 | 1917 | 85 | 248 | 20.7 |
10年目 | 213 | 2130 | 96 | 257 | 21.4 |
10年目には、年収が257万円(月給21万4千円)となりました。
繰り返しになりますが、法人で家賃を払うので役員報酬から家賃を払う必要はありません。
また取得株式の総額(資産)は2,130万円になりました。
売上800万円のケース
続いて800万円のケースを見ていきます。
現金出納は以下の通りです。
売上 | 800 |
役員報酬(支給額) | ▲180 |
社会保険料 (法人負担分) |
▲25 |
家賃 | ▲96 |
税理士代 | ▲20 |
法人税(実効) | ▲102 |
法人税均等割 | ▲7 |
投資額 | 370 |
資産と給与の増加はこちらになります。
年次 | 投資額 | 総資産額 | 株式配当 | 役員報酬 (年) |
役員報酬 (月) |
1年目 | 370 | 370 | - | 180 | 15.0 |
2年目 | 370 | 740 | 19 | 195 | 16.2 |
3年目 | 370 | 1110 | 37 | 210 | 17.5 |
4年目 | 370 | 1480 | 56 | 224 | 18.7 |
5年目 | 370 | 1850 | 74 | 239 | 19.9 |
6年目 | 370 | 2220 | 93 | 254 | 21.2 |
7年目 | 370 | 2590 | 111 | 269 | 22.4 |
8年目 | 370 | 2960 | 130 | 284 | 23.6 |
9年目 | 370 | 3330 | 148 | 298 | 24.9 |
10年目 | 370 | 3700 | 167 | 313 | 26.1 |
10年目には、資産が3,700万円となり、月給は26万1千円になりました。
売上999万円のケース
最後に、売上999万円のケースを見ます。
現金出納は以下の通りです。
売上 | 600 |
役員報酬(支給額) | ▲180 |
社会保険料 (法人負担分) |
▲25 |
家賃 | ▲96 |
税理士代 | ▲20 |
法人税(実効) | ▲148 |
法人税均等割 | ▲7 |
投資額 | 523 |
売上が999万円で、投資額は年間523万円というかなり高い割合です。
資産と月給の推移は以下の通りです。
年次 | 投資額 | 総資産額 | 株式配当 | 役員報酬 (年) |
役員報酬 (月) |
1年目 | 523 | 523 | - | 180 | 15.0 |
2年目 | 523 | 1046 | 26 | 201 | 16.7 |
3年目 | 523 | 1569 | 52 | 222 | 18.5 |
4年目 | 523 | 2092 | 78 | 243 | 20.2 |
5年目 | 523 | 2615 | 105 | 264 | 22.0 |
6年目 | 523 | 3138 | 131 | 285 | 23.7 |
7年目 | 523 | 3661 | 157 | 306 | 25.5 |
8年目 | 523 | 4184 | 183 | 326 | 27.2 |
9年目 | 523 | 4707 | 209 | 347 | 28.9 |
10年目 | 523 | 5230 | 235 | 368 | 30.7 |
10年目には、資産が5,230万円となり、月給は30万7千円になりました。
なお、この段階に至ると仕事をしなくても月給15万7千円を確保できます。
仕事をしない場合は追加投資が出来ないので資産は増えませんが、資産を維持した状態で15万7千円の配当金を受け取り続けることが出来る想定です。
法人化や高配当株投資のデメリット
ここまで紹介してきた手法にも、デメリットはあります。
大雑把に箇条書きすると、
- 高配当株投資は買い時が難しい
- 売上が1,000万円を超えると消費税の納税義務が発生する
- 税理士顧問料と法人税均等割が発生するため、ある程度の売上が無いとメリットを相殺してしまう
- インデックス投資に比べて時間がかかる
などです。
詳細を知りたい方は、前回の記事の目次から〔この方法の注意点〕の項目をご覧ください。
まとめ
老後への備え、キャッシュフローの改善、資産形成にはいろいろな方法がありますが、この記事ではマイクロ法人と高配当株でこれらに対応する方法を解説しました。
配当金の額が増えれば、収入減や離職やちょっとした事故があっても、そこまで困らずに余裕を持った対処が可能になります。
ある程度の資産を持てば、会社の業績や、世の中の景気、年金の減額などの政治にも振り回されず、自分の人生を自由に生きていくための強力な武器になると思います。
今回紹介した手法は、資産形成のための入金と、自由にできるお金を増やすことのバランスを取った手法です。
前回のような(サイド)FIRE一直線以外にも、こういったバリエーションも知っておくと、資産形成の幅が広がるのではないでしょうか。
この記事がお読みの皆様の資産形成に役立てば幸いです。
それでは (*゚▽゚)ノ