資産形成

【マイクロ法人+高配当株】サイドFIRE達成方法

この記事では、

  • フリーランスエンジニアなどの個人事業主が
  • マイクロ法人を設立し
  • 高配当株で
  • サイドFIREを達成する方法

を記載します。

皆さんあこがれのFIRE・サイドFIREですが、マイクロ法人の有利な点を活用し、より早く着実にサイドFIREを達成する方法を記載します。

主な対象はフリーランスエンジニアを想定していますが、年間粗利600万円~1,000万円くらいの個人事業主であればどの業種の方でも参考に出来る内容です。

是非ともご覧ください。

【当シリーズ】

執筆者のえもんだ社長は、エンジニア歴8年程のフリーランスエンジニアで、マイクロ法人の社長をしている者です。
ご興味あれば自己紹介の記事をご覧ください。
本記事は、自力での法人決算3期の経験や諸々の調査の上で執筆していますが、税金の専門家による記事ではありません
マイクロ法人スキームについてより詳しく知りたい方は、こちらの記事もご覧下ださい。

【フリーランス向け】税理士活用で手取り10%増やす方法

目標(サイドFIRE)の定義

この記事で達成するサイドFIREの定義は、

  • 高配当株からの資産収入のみで月8万円の家賃と月5万円の月給(役員報酬)を稼ぐ

です。

年間の出費は以下の通りです。

  • 家賃:96万円
  • 給料(役員報酬):60万円
  • 社会保険料会社負担分:約13万円(1万円強/月)
  • 法人税均等割(※):7万円
  • 合計:176万円

※法人税均等割とは、法人税の一種で利益に関係なく課税されるものです。

これだけのキャッシュフローを生み出すには、配当金5%の高配当株3,520万円分が必要です。

この記事では、個人事業を法人化し3,520万円分の高配当株を法人名義で取得することを目標とします。

法人化による税制の活用

なぜ法人化をするかというと税金です。

当たり前すぎる回答ですが、実際に法人の税金は安いです。

まずは、資産を作る際のハードルとなる税金について簡単に解説します。

資産を持つには法人税を払わなければならない

まず、株や土地などの消費しないモノ(資産)を買うためには法人税を支払う必要があります

一方で、(事業に関係のある)車やパソコンや服や食品など消費するモノ(消費財)を買う場合は経費計上できるので、法人税を減らすことができます。

最初に事業の売上があり、仕入れを差し引くと粗利が残ります。

※フリーランスエンジニアであれば、ほぼ売上=粗利です。

その粗利の用途として、

  • 資産の購入や現金のままの保持 → 経費計上できない
  • 消費財の購入 → 経費計上できる

となります。

すごく大雑把に例を挙げると

【100万円の現金をもったまま決算を迎える場合】

  • 法人税:25万円支払い
  • 現金:75万円残る
  • 車:ナシ

【100万円の4年落ち中古車を購入し決算を迎える場合】

  • 法人税:0円支払い
  • 現金:0円残る
  • 車:中古車1台残る

の様になります。

なお、この原則は個人事業主でもほとんど一緒です。(経費計上出来るモノが法人に比べて少ないのでちょっと不利です)

そして、会社員の場合には資産も経費も関係ありません。会社員は資産だろうが消費財だろうが、税金が引かれた後の手残りで買わなければなりません

ともあれ、

  • 消費しない
  • 取り崩しさえしなければ半永久的に残る

という特徴を満たす「資産」を貯めるためには法人税を支払う必要があります。

(法人、個人事業主、会社員共に)資産を貯めるには税金を払う必要がある

現在の法人税は安い

現在(2022年4月)の法人税は安いです。

以下のグラフの示す通り、平成初期以降ずっと右肩下がりです。

※グラフは法人税のみ。

法人が払う税金は法人税の他にもたくさんあり、全部で5種類ほどあります。国や県や市に別々の名目で支払う必要があります。

それらすべての税金を合算したものを、(法人の)実効税率といい、この実効税率が粗利から経費を引いて残った利益(税引前当期純利益)に課されます

税金について細かい話をするととても膨大な量になるので、実効税率の要点だけを書くと、

  • 400万円までの利益に対しては21%程
  • 400万円以上、800万円までの利益に対しては23%程
  • 800万円以上の利益に対しては33%程

となります。(※法人の本店所在地により少々異なりますのでご注意を)

なお、個人事業主のままだと、社会保険料と税金を合わせ税引前当期純利益の30%~35%程になります。

つまりは、800万円までの部分に対しては法人税が安いので、会社にお金を貯める(= 株などの資産を形成する)ためにとても有利になります。

年間800万円までの資産を貯めるなら法人の実効税率が圧倒的に安い
一般論として、法人税が高い方が社員のボーナスが増えて景気が良くなります。(会社は税金を払うくらいならボーナスを支給しよう、と考えるためです)
よって、個人としては法人税が安いことにあまり賛成はしていませんが、蓄財の為に現行の税制を活用することは必須です。
現行の税制について賛成でも反対でも、ここでは割り切って純粋な資産形成を目標としましょう。

配当には益金不算入がある

益金不算入という言葉はご存じでしょうか?

端的に言うと、利益が出ても税金がかからない部分のことです。

株の配当のうち、(通常は)20%の部分には税金がかかりません

例)10万円の配当所得のうち、8万円のみが課税対象となる。

サイドFIREを目指すにあたり、いきなり年176万円の配当収入が得られるわけではありません。

よほどの急成長でなければ、配当収入が50万円の年や100万円の年を経て、176万円に到達することになります。

配当収入が50万円であれば10万円が、配当収入が100万円であれば20万円が非課税となります。

また、サイドFIRE達成後も益金不算入は活用できます

ちなみに、個人事業主の場合には(通常)10%のみ益金不算入となります。

そして、会社員の場合には他の所得や益金などは無視して、一律20%強の税金が課されます(例外あり)

10万円の配当を例にまとめると、

  • 法人の場合:8万円が益金になり、法人全体の益金に合算して課税
  • 個人事業主の場合:9万円が益金になり、個人事業全体の益金に合算して課税
  • 会社員の場合:給料の額に関係なく全額課税対象で、2万円強を納税(例外あり)

となります。

やはり、ほとんどのケースでは法人が有利です。法人を活用し有利な税制で資産形成をしましょう!

法人化すると、株式配当の20%は益金不算入となり税金がかからない。

サイドFIREまでの道のり

以上を踏まえて、サイドFIREまでの道のりを簡易シュミレーションしてみます。

細かい計算で省いている部分がありますので、若干現実とズレが出るかもしれませんが、大抵のケースでは当てはまります。

お金のやりくりは以下で考えます。

  • 家賃月8万円を経費で支払い
  • 自身の人件費は200万円(手取り約12万円/月)
  • 税務は税理士に全部お任せで20万円/年
  • 残り金額を全て高配当株に投資

月の手取りが12万円は少ないようですが、家賃を支払った後に自由に使える金額ですので、一人暮らしであればそこまで不自由はしないと思います。

ちょっと切り詰め気味ですが、これで頑張ってみましょう。

また、最初の資産額は0円で考えています。もし自己資金を用意できるのであれば、その分達成までの期間は短くなります

粗利600万円の場合

  • 人件費(役員報酬+社会保険料):200万円
  • 家賃:96万円
  • 税理士代:20万円
  • 法人実効税:60万円
  • 法人税均等割:7万円
  • 残り(投資額):217万円

この場合の資産額の推移は以下の通りです。

年次 入金額 配当金 配当金の税金 資産額
1年目 217 11 ▲2 226
2年目 443 22 ▲4 461
3年目 678 34 ▲6 707
4年目 924 46 ▲8 962
5年目 1179 59 ▲10 1228
6年目 1445 72 ▲12 1505
7年目 1722 86 ▲14 1794
8年目 2011 101 ▲17 2095
9年目 2312 116 ▲19 2408
10年目 2625 131 ▲22 2734
11年目 2951 148 ▲25 3074
12年目 3291 165 ▲28 3428
13年目 3645 182 ▲31 3796

※単位は万円。千円以下は四捨五入。

ご覧の通り、13年目に目標の資産額を超えました

粗利800万円の場合

  • 役員報酬+社会保険料:200万円
  • 家賃:96万円
  • その他:20万円
  • 法人実効税:104万円
  • 法人税均等割:7万円
  • 残り(投資額):373万円

この場合は以下の通りです。

年次 入金額 配当金 配当金の税金 資産額
1年目 373 19 ▲3 388
2年目 761 38 ▲7 792
3年目 1165 58 ▲11 1213
4年目 1586 79 ▲15 1651
5年目 2024 101 ▲19 2106
6年目 2479 124 ▲23 2580
7年目 2953 148 ▲27 3074
8年目 3447 172 ▲32 3587
9年目 3960 198 ▲36 4122
10年目 4495 225 ▲41 4678
11年目 5051 253 ▲46 5257
12年目 5630 282 ▲52 5860
13年目 6233 312 ▲57 6487

※単位は万円。千円以下は四捨五入。

8年目に目標の資産額を超えました!

粗利999万円の場合

※999万円としたのは、売上1,000万円以上になると消費税の納税義務が発生するためです(後述)

  • 役員報酬+社会保険料:200万円
  • 家賃:96万円
  • その他:20万円
  • 法人実効税:150万円
  • 法人税均等割:7万円
  • 残り(投資額):526万円

この場合は以下の通りです。

年次 入金額 配当金 配当金の税金 資産額
1年目 526 26 ▲5 547
2年目 1073 54 ▲10 1117
3年目 1643 82 ▲15 1710
4年目 2236 112 ▲21 2328
5年目 2854 143 ▲26 2970
6年目 3496 175 ▲32 3639
7年目 4165 208 ▲38 4335
8年目 4861 243 ▲45 5059
9年目 5585 279 ▲51 5813
10年目 6339 317 ▲58 6597
11年目 7123 356 ▲66 7414
12年目 7940 397 ▲73 8264
13年目 8790 439 ▲81 9149

※単位は万円。千円以下は四捨五入。

何と、6年目に目標資産を大きく超え、そのままのペースで続ければ13年目には9,149万円もの資産に到達します。

やはり入金額がモノをいいます

この方法の注意点

ここまでこの方法の良い点を挙げてきました。

しかし、この方法にも不利な点はあります。

注意点を書きますので、こちらもご参考にしてもらえると嬉しいです。

高配当株投資はちょっと難しい

当たり前のように「5%の配当金が出る高配当株を購入」と書いてしまいましたが、高配当株投資は少々難しいです。

まず銘柄の選定が難しいです。

キャッシュフローを増やす、という配当の目的を考えると、ちゃんと本業の内容や財務や配当性向などを見て銘柄を選定し、複数の業種・企業にまたがり分散投資する必要があります。

また買い時も難しいです。

ご存じの通り、株価は常に上下します。当然安くなっているタイミングで買うのがベストですが、それなりの難易度です。

短くても2年くらいのスパンで買い時を待ち続けるくらいの気持ちが無いと、いいタイミングでは買えないと聞きます。

実はわたくしも高配当株投資は今年始めたばかりです。今のところは好調ですが、気を付けておかないと何があるかわからない、というのが正直な感想です。

高配当株投資の難易度は高めだということも考慮しておきましょう。

消費税に気を付けなければならない

現在のルールでは、売上が1,000万円以上になると、翌々年の決算で消費税を払う必要が出てきます。

実際、今の人手不足のIT業界でエンジニアをやっていると、売上が1,000万円を超えることも珍しくはないでしょう。(2022年5月現在)

売上1,000万円を超えないように受注業務をコントロールするなどの措置が必要な場合もあるかもしれません。

また、2023年10月からインボイス制度という制度が始まる予定です。

簡単に言うと、売上1,000万円以下の零細企業でも消費税を支払う必要が出てくる制度です。

この制度は反対の声がかなり強く、選挙の結果などにより中止や延期がされる可能性も十分あると思っていますが、2022年4月現在では今後施行される予定です。

売上1,000万円以上になると消費税の納税義務が発生します。
また、今後売上1,000万円以下でも納税義務が発生する可能性があることも覚えておきましょう。

法人ならではの出費もある

前述のシュミレーションにある通り、利益に関係なく課税される法人税均等割の7万円と、税理士費用の20万円が毎年かかります。

この方法を用いれば、粗利が999万円の場合にはほぼ間違いなく法人成りのメリットの方が大きいです。

また、税理士費用20万円は想定です。税理士の先生によっては、もっと安く受けてくれるかもしれません。

しかし、ざっくり粗利が500万円を大きく下回るようだと、メリットを相殺してしまいそうな出費ではあります。

粗利額が少ないと法人成りのメリットは薄れてきます。

ちょっと時間がかかる

高配当株を購入した場合、サイドFIREまでに粗利600万円の場合には13年粗利999万円の場合でも6年かかります。

元々FIREは簡単にできるものではありませんが、

  • 高配当株は、S&P500等の米国インデックスファンドに比べて成長力が弱め
  • 配当金に税金がかかる

という理由により、ちょっと長めの期間が必要になります。

例えば、粗利600万円のケースではサイドFIRE達成までに配当金への税金だけで197万円を払うことになります。この金額は益金不算入を活用した後の金額です。

一方で、インデックス投資の場合には、原則資産形成のタイミングでは税金はかかりません

株購入のタイミングでは税金はかからず、売却の際に儲かった金額(売った値段 - 買った値段)が、その年の課税対象利益として扱われます。

高配当株投資は、インデックス投資などに比べてスピードは遅めです。

入金力を上げる方法

ここで入金力を上げる方法もちょっと解説します。

端的に言うと、より多く世の中に貢献しより多く売り上げを上げる、です。

フリーランスエンジニアで売上を上げる方法については、こちらの過去記事をご覧ください。

特にエンジニアで収入が伸び悩んでいる方にオススメしたい記事です。

まとめ

今回はフリーランスエンジニアとして、サイドFIREについて、税金も含めて真面目に考えてみました。

大雑把に言って、

  • フリーランスから法人成りする
  • 節約しながら法人名義で高配当株を購入し続ける
  • これを10年前後続ける

とすればサイドFIREも夢ではないと分かりました。

もっと贅沢な生活をしたい人も居れば、すでにある程度の資産を持っている人も居るでしょう。

また、もっと収入が多い人や、お子様の教育費がかかる家庭、2馬力で稼げる家庭もあると思います。

目標金額・入金額・達成期間は、ご自身の生活スタイルに合わせて調整していただければと思います。

いずれにしても、資産形成が100%思い通りにいかなくても、貯金が増えて生活が楽になることは間違いありません

この記事が皆様の資産形成のお役に立てれば幸いです。

それでは (*゚▽゚)ノ

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