どうもどうも、えもんだ社長です (*゚▽゚)ノ
今回は、IT業界で話題になっては否定されている「エンジニア35歳定年説」を解説します。
結論から言えば、そんな説は100%間違いなので、駆け出しの人やこれからIT業界を目指す人は特に心配しなくても大丈夫です。
しかし、全く考慮に値しないでたらめな説でもなく、ちょっと考えるポイントもある説です。
ということで、現役エンジニア視点で論理的に35歳限界説を解説してみようと思います。
是非ともご覧ください。
目次
エンジニア35歳定年説は間違い
冒頭に言った通り「35歳で定年となる」というのは全くのでたらめです。
勤めている会社から「35歳になったから退職してね」と言われることはまず有り得ません。退職を強要する無言の圧力なども有り得ません。
まず初めに、根拠を持って間違いを指摘します。
IT業界は慢性的な人手不足
第1の理由は、そもそもIT業界が人手不足だから、です。
以前の記事でも紹介しましたが、経済産業省の試算によると、2030年には16万人~79万人の人材が不足する、と言われています。
https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/jinzai/houkokusyo.pdf
個人の経験ですが、、、
現場に勤務していると、追加人員を募集することが多いです。
ネット上を見ても求人がたくさんあります。
ずっと昔に登録した求人エージェント複数社から、今でもコンスタントに求人紹介のメールが来ます。
もちろん、35歳を超えてからもオファーは沢山来てます。
雇ってる方も、人材不足なのに年齢でクビにするなんてことはやらないです。
仕事能力は基本的に右肩上がりです
第2の理由はこちらです。
わたくしの見てきた限りでは、総合的な仕事能力は年齢とともに上がっていきます。
単純な体力だけを考えたら、若い頃の方が有利です。
新しいことの吸収力を考えても、若い人が有利だと思います。
しかし、関係各所との折衝や仕事上常識的な行動をとれるか、などを加味した総合力では年上の人の方が有利だと思います。
体感では、仕事を行う上で重要なのは、
- 顧客が必要とすることの把握
- チームの能力の把握
- 関係各所の利害の把握
- タスクの割り振り
- スケジューリング
の順番かなと思っています。
※この順番はあくまで一人のエンジニアとしてのわたくしの意見で学術的な根拠はありませんが、それなりに自信はあります。
どれもこれも年齢とともに上がっていく能力です。
能力が上がっている人をクビにしたい経営者はあまりいないと思います。
すぐに代わりになる若手なんてそうそう居ません
続いての理由はこちらです。
実際にエンジニアをやっているとわかりますが、業務遂行能力はそう簡単には身に付きません。
単純なエンジニアリング能力であれば得意な人なら数年で身に付いた人を見たことはあります。(もちろん激レアです)
しかし、前述したような顧客が必要なことの把握から、わかりやすく説明する文章を書いたり、エクセルやパワポなどでの資料作成までとなると、長期間ちゃんとした修業をしないと身に付かないはずです。
長期間修業をしてもオールマイティになれる人は珍しいです。(そもそも一個も身に付かない人もたまにはいます・・・)
ましてや、35歳前後のエンジニアの代わりになれる若手なんてそうそう見つからないので、クビになんてできません。
35歳前後で辞めるエンジニアは多い
このように「エンジニア35歳定年」などというのはあり得ない話です。
しかし、35歳前後で辞めるエンジニアは多いです。
また、30代後半以降のエンジニアで、
「すぐにでも辞めたい」とか、
「お金の為だけにやっている」とか言う知人もそこそこ多いです (´・ω・`)
なぜ辞めたがるのか、理由を考えてみます。
重労働
一般的に、エンジニアは重労働です。
会社によって違いますが、大体は重労働です。
やはりエンジニアリングは簡単ではないです。
また、大抵の場合仕事はいくらでもあるので、仕事が出来る人にはそのぶん沢山の仕事が来て、余計に大変になります。
また、大きなプロジェクトになると億単位の予算が付くことも珍しくないので、責任が重いです。
特にネットワークエンジニアだと、失敗したときにいくら損害が出るか分かったものではありません。
金融系の会社に勤めていた時には「送金ネットワークに障害を起こしたら何億の損害が出るかわからないよ」とよく脅されました。
プロジェクトによりますが、関わる人数も大体は多めです。
顧客から上司から先輩後輩まで、それぞれ別々の要望を持っている人達に囲まれることになります。
普段は意識しませんが、沢山の人の色々な話に対して
- 対決
- スルー
- 説得
- 懐柔
- 逃避
等の判断を常にこなしています。
そして、年を取るにつれてデスクワーク自体がしんどくなります。
運動不足になりますし、目も疲れやすくなってパソコンを見ているだけでも辛かったりします。
若手の頃はともかく、年を取るにつれてだんだん業務がキツくなってきて、転職を考える人が増えてくる印象です。
エンジニア以外の役割を期待される
前項の重労働と一部重複しますが、こちらも理由の一つです。
特に正社員として雇われている人の場合は、定期昇給がある分、より売上に貢献する仕事をしてもらわないと、会社が困ります。
「売上 > 人件費」じゃないと経営が成り立たないからです。
ということで、
- (部下の失敗の責任を負うことになる)管理業務
- (何かと矢面に立つ)大口顧客の対応
- 後輩の作成した資料を承認する役割
- プロジェクト予算管理
なども任されるようになります。
これらの業務は、ほとんどは元々やっていたエンジニアリングとは勝手の違う業務です。
エンジニアで活躍で来ていた人でも、必ずしも同じように活躍できる業務ではありません。
上手く順応できればいいのですが、そうもいかない場合もあります。
そんな感じで「この仕事向いてないのかも・・・」と思い始める年齢が35歳くらいなのだと思います。
薄給の会社
実は、それほどの重労働もエンジニア以外の役割も任されない会社があります!
それが薄給の会社です!!
わたくしはその昔、コールセンターで働いていたことがあったのですが、この会社は薄給でした。
3年経っても、5年経っても給料が上がらないです。(現場リーダーになると雀の涙ほど上がります)
昇給しない理由は簡単で、やっている業務(売上への貢献)に変化が無いからです。
IT企業でも4次請けくらいの企業などになると、このような会社は多いと思います。
いわゆるマックジョブしか受注できないような会社は、社内に高度な業務自体が無く、売り上げもそこまで伸びないです ( ;∀;)
当然、業務内容に変化はあまりなく、給料も伸びにくいです。
IT業界に転職する場合には、このような企業に引っかからないようお気を付けください。
このような環境の中で「一生続けるのは難しいな・・・」と思う人が出てきます。
転職年齢
転職できる年齢に限界がある、というのも35歳までに転職する人が多い理由だと思います。
最近はそうでもありませんが、昔は年齢が高いと別業種に転職するのはほぼ不可能、という話をよく聞きました。
IT業界は多少年齢が高くても受け入れる余地がありますが、他の業界の求人では年齢のリミットが設けられている場合が多いです。
前項までに記載したような理由で不安を持っている人の一部が、他業界での年齢リミットを迎える前、35歳くらいで思い切って転職するのだと思います。
まとめ
以上の通り「IT業界では35歳でクビになる」というのは間違いなので、いらない心配です。
恐らくは、自主的に辞める人のボリュームゾーンが35歳くらいだから出た説だと思います。
主体的にキャリア形成をしている中で、35歳くらいで転職の決断に至るケースが多いのでしょう。
そして結果的に平均退職年齢が35歳くらいになり「35歳定年説」が生まれたのだと思います。
しかし、(定年説は間違いであっても)他の業界に移る場合には35歳くらいが一つの目安、という考えは無視できないかもしれません。
ともあれ、一番大事なのは「主体的に考えてキャリア形成をする」ということだと思います。
この記事が、IT業界を目指す人、続ける人、転職する人皆様のお役に立てれば幸いです。
それでは (*゚▽゚)ノ